思わぬ考察。

夏目漱石『こころ(講談社文庫)』再読(のはず…)。

未亡人と娘が営む下宿屋の様子、地方出身のインテリ学生の生き方など

もう軽く日本民族史のようになっています。

そして嬉しい発見は豪華解説が江藤淳だったこと。

で、解説を読んでいるうちに、乃木将軍の35年越しの殉死に胸をつかれ

結局自らも友人の後を追った主人公の“先生”、

奥様の後を追った江藤淳がトリプルに重なってはっとしました。

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快挙&古典ミステリー。

お盆休みはじっくり珠玉の名文(とご本人は自覚されてないだろうし

思われたくないでしょうが、けれどそこがこの方の魅力!)、

武田百合子『あの頃(中央公論新社)』。

編んだお嬢さんと出された中央公論新社に敬意を捧げます。

本棚の隅で発見、カトリーヌ・アルレー『わらの女(創元推理文庫)』

1964年初版、安堂信也さんの翻訳も良かった~。

この時代ヨーロッパでは結婚相手を新聞でも募集してたのね。

松本清張さんにも通じる、古くとも色あせない冷徹な筆致でした。

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ワイルドで切ない。

ホセ・ルイス・サンペドロ『エトルリアの微笑み(NHK出版)』再読。

息子夫婦の暮らすミラノを東京に、父が愛する故郷を大阪に

勝手に置き換えて納得していました。

彼の最期の数分の描写が美しくて偉大で哀しくて。

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端正な文章&フランスのコメディ。

小沼丹『小さな手袋・珈琲挽き(みすず書房)』。

昭和40年代、小沼先生が早稲田大学で教えられていたときの学生、

三浦哲郎さんとの交流がのどかで楽しい。今の時代ではあり得ませんね。

しかし美しい日本語です、心洗われます。

家人向けに?『ボン・ボヤージュ~家族旅行は大暴走~』。

正直、ところどころ少ししつこいかも。

でも脇役の、警察署長とか不思議ちゃんのママとか魅力的、

こんなところまで配役が行き届いてるのがエスプリですかね。

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ハッピーエンドの逆だった!

メアリー・チェンバレン『ダッハウの仕立て師(早川書房)』

勝手にハッピーエンドを想像してたらショック!

しかし生地の特徴や仕立てる過程の記述の美しいこと、

“謎に包まれたシフォン”“強情なシルク”“怠け者のフラノ”云々。

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